19日 2月 2024
ナルシシズムについて、肯定的と否定的これら2つの側面を違った実態であるかのごとく描写することは、間違っているかもしれない。 というのも、肯定的なものと否定的なものは、いつも関係し合っているからである。 一方で他方抜きに存在することはない。 例えば、肯定的ナルシシズムについて言うとき、自尊心や自信について語っているらしいとしても、...
30日 12月 2022
フロイトが1905年に「性理論のための3篇」を書いたところ、フロイトの考えていた心の発達は、 口唇期などやエディプス期、潜伏期、思春期、青年期、成人期、老人期といった性と心理の段階発達モデルだけだったが、 そこに自体愛、自己愛、対象愛、同性愛、異性愛といった愛情の対象選択につながる要素を加えて、...
14日 12月 2021
現代の私たちにとって世界大戦前に自明な前提であった明晰な自我は、徐々に寄る辺ないものになりつつある。 これがフロイトの発見した「ナルシシズム」の現代社会での帰結である。 かつてデカルトの唱えた「コギト」は自分自身が考えるということが明証性や明晰さの根拠であり、...
07日 12月 2021
フロイトやヒトラーの時代に比べて、経済的な豊かさが日常化した先進国で、今もっとも問題とされている神経症は、 ナルシシズム、ナルシス的退行である。 環境的な欠損や戦う敵は明確ではなく、目の前にあるのは漠然とした不確実性だけである。 退行を引き起こす条件は揃っている。...
16日 11月 2021
フロイトが「自我とエス」を書いた頃の、2つの世界大戦の時代のドイツに比べて、比較的安定した社会環境となった現代では、 超自我、エスともに、むしろ内部での分断が進んでいるのではないだろうか。 「何が正しくて何を信じればいいのか」、「自分のよって立つ道徳心とはどういうものなのか」、こんな混乱の中で、 人の規範である超自我は途方に暮れている。...
21日 9月 2021
大人のメンタルヘルスに関わっていると、より深刻で、それでいて見過ごされていることがあると気づきます。 それは、先進諸国での死因が心臓発作やガンという、自律神経系や免疫系の失調状態から訪れる慢性的な病気であることに象徴されます。 つまり、症状はサイレントで副交感神経が過剰に働いて自己組織を侵食していくような病気、...
15日 6月 2021
精神分析に視点から見れば、人間の生活は「うそ」に満ちています。 あるいは、あらゆる意識的な認知、知覚は、無意識の視点に立てば、どこかに「うそ」があるという主題を立てています。 ですから、そんなことはない、自分は純粋だという人には、精神分析は必要ないでしょう。...
01日 6月 2021
精神分析からみれば、病気はメッセージであり、サインであり、兆候であり、無意識からの贈り物です。 もちろん、苦しいことや痛みを伴うことが多いので、そう考えることが難しいのですが、 病気を契機として、もし自己を振り返り、人生を振り返る、そうした眺望が見えてきたら、 病気はそうした新しい意味を担うことになります。...
19日 1月 2021
あなたも私も「お子様大人症候群」ではないのか 誰でも一度は、あるいは不幸な人はしょっちゅうあると思うのですが、人に迷惑をかける困った人たちに巻き込まれて 人間関係に悩んだことがあるのではないでしょうか。 困った恋人や隣人、あるいはお客さん、交渉相手などなど、どうしてか、いつもこちらが不快になってしまうような...
06日 1月 2021
精神分析から見れば、人は多かれ少なかれ心を病んでいて、 しばしば衝動的だったり、しばしばあまりに頑固であったり、うそつきであったりします。 だから、たいていの人は子供であることが多い。 それが現実です。 もちろん聖人君子のような人はいますが、その人の心のなかでも、きっと多かれ少なかれ同じことは起きていて、 程度の差でしかありません。...

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