人の教育に関わる人たちが抱くいくつかの根本的な問いについて考えていきたいと思います。
それらは、学ぶことを促進するものは何で、それを妨げるものは何かという問い、
さらになぜ子どもは、ある教科を他のよりも難しいと思うのか、という問いなどです。
そして、焦点を当てたい中心的な問いは、そもそも子どもが学びたくなるようにさせるものは何かという問いです。
学ぶことと考えることの障害は、教師と同じように精神分析家や心理療法士にとっても重要な関心ごとです。
メラニー・クラインの初期の著書には、学ぶこと、読むこと、書くことに関わる困難について、
そして学校での子どもの困難について書かれています。
心理療法士は、学ぶことと考えることにおける問題に関心があります。
というのも、自分自身について考える能力や経験から学ぶ能力が、人格の発達や心理療法を利用するの力という点で、
決定的だからです。
ビオン(Bion, 1962)は、何かを「経験から学ぶこと」と、何か「について学ぶこと」の違いについて述べています。
両者は、学んでいることとの本当の情緒的なつながりと、学ぶ主題について知識を集めていることとは、異なります。
経験から学ぶ能力こそが、ここでテーマになるものです。
事実や数字には価値はあり、実際に潜伏期の子ども(小学生)にとって、
この種の知識を獲得することには、重要な役割があります。
しかし、経験から学ぶ能力、つまり子どもが頭を使って考え、感じる能力の発達が、
子どもが自分自身の人生を生きていけるように準備していくのを手助けするものであり、
「学ぶこと」についての重要な意味となります。
引用文献
ビディ・ヨーエル (著), 平井 正三 (監訳),(2009) 「学校現場に生かす精神分析」 岩崎学術出版社
