親にかわる依存対象を見つける

 

 

やはり思春期の親離れで、非常に大切なことは、親から離れることそのもではなく、

 

親から離れるのと同時に、同世代の友だちや仲間というものをちゃんと獲得することです。

 

不登校やいろいろな問題を抱えている人の場合、

 

親離れしていても、親にかわる依存対象が見つからない、という場合が多いようです。

 

親離れしても、同じ世代のグループや親しい友だちができないと、誰も頼りになる人がいなくなってしまう。

 

これでは「自立」ではなく「孤立」になってしまいます。

 

メンタルヘルスにおいては、「自立」と「孤立」の違いをきちんと見極めて区別しておくことがとても大切です。

 

孤立すればするほど、本人には僻みや捻くれなどが起こってくるので、ますますそのことに耐えられなくなってきます。

 

「俺は自立しているのだ、自立しているのだ」と頭の中ではすごく頑張っているのです。

 

ところが見ていると、それは何にも頼らない孤立した姿になっている。

 

周りからはどんどん距離が置かれてしまう。

 

こういうふうに孤立して家の中に閉じこもってしまって、自分の部屋の中にばかりいて、やがては昼夜逆転して、

 

ゲームやネットの世界だけになってしまうという人がいます。

 

大切なことは、親離れすることではなく、親離れしたあと、その分ちゃんと友だちや先生などに出会うということです。

 

そういう親離れ、自立の仕方がとても大切なことだと思われます。

 

 

 

 

 引用文献

 

小此木啓吾(2016) 精神分析のおはなし 創元こころの文庫